6.天水訟(てんすいしょ う)訴え争いごとの多い時
卦 象

運勢予報
卦  辞
訟有孚塞。タ中吉。終凶。利見大人。不利渉大川。
(しょうはまことありてふさがる。おそれてちゅうすればきち。おわればきょう。たいじんをみるによろし。たいせんをわたるによろしからず。)
運  勢
「訟」は訴える。「タ」は天命を尊重すること。「天水訟の時、誠があっても塞がって通じない。天命を尊重して中止するなら吉。最後ま でいい分を貫こうとすれば凶。有識者に相談することだ。大川を渡ってはならない」。この卦は訴訟を表わし、したがって、天水訟の時は激しい対立やもめ事の あ る時です。こうした時は、互いに我を張って平行線のままですから、あなたのほうから折れて和解策に転じる心構えが賢明です。また、是が非でもやり遂げよ うと頑張ることがかえってマイナスになる時です。第三者に相談するなどして、冷静に考え、強引なやり方は改めること。
初爻 爻辞 不永所事。小有事。終吉。
(ことするところをながくせず。すこしきことあり。ついにきち。)
対処法 「訴え争いを長引かせずに切り上げる。少々ゴタゴタがあっても最終的には吉」。先を見越して、争いを早めに避けるほうが利口です。小 さな事にはこだわらないこと。
二爻 爻辞 不克訟。帰而逋。其邑人三百戸。无[生/目]」。
(うったえをよくせず。かえりてのがる。そのゆうじんさんびゃっこ。わざわいなし。)
対処法 「逋」は逃げてコソコソ隠れること。「邑人」は村人のこと。「訴えに勝てない。逃れて帰る。関係する三百人の村人たちにも災いが及ば ずに済んだ」。勝ち目もないのに勢いに任せて不満をぶつけないことです。ひとまず退却すること。
三爻 爻辞 食旧徳。貞誌I吉。或従王事无成。
(きゅうとくにはむ。ただしければあやうきもついにきち。あるいはおうじにしたがいなすことなし。)
対処法 「旧徳」は旧禄のこと。「王事」は王命による日常の仕事のこと。「主人の所へ帰って、今までどおり養われる。貞正していても危うい が、最終的には吉。日常の仕事をしていれば、たとえ功績がなくても良い」。今まで 行なってきた事が平凡でも一番良い時です。移り気は良くありません。
四爻 爻辞 不克訟。復即命。渝安貞吉。
(うったえをよくせず。かえりてめいにつき。かえてていにやすんずればきち。)
対処法 「渝」は変わること。「訴えに勝てない。帰って主人の命令に従う。心を入れ替えて貞正に安んずれば吉」。自分の原点、自分の本来の仕 事に立ち返るべき時です。目上の人に従いましょう。
五爻 爻辞 訟元吉。
(うったえげんきち。)
対処法 「訴えて勝ち、大いに吉」。実力も備わり、正義のために堂々と戦って勝利を収める時です。この機会に決着をつけること。
◎天水訟の中では良い時です。
上爻 爻辞 或錫之〓帯。終朝三褫之。
(あるいはこれにはんたいをたまう。しゅうちょうにみたびこれをうばわる。)
対処法 「〓帯」は礼服。「終朝」は午前中のこと。「王より礼服を授けられたが、朝のまつりごとが終わるまで三度もこれを取り上げられてし まった」。労して功無しの時です。天意に逆らって策略を駆使し、一時的に訴えに勝った姿です。しかし、結局信用も 人望も失い、空しさだけが残ることでしょう。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
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※易経六十四卦はそれぞれ、卦象、卦辞、爻辞からなります。1. 乾為天2.坤為地の所には卦象と爻の位置関係を詳しく記してお ります。